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「なんだ遼太。久々顔出したと思ったら憎たらしいクチをききやがる」
言葉とは裏腹に、おじさん相好を崩す。
「東矢は?」
「奥にいるぞ」
おじさんが指差した。ああ、やってるやってる。
高速ケージでガンガン打ちまくってる東矢が見えた。東矢を見ていた俺におじさんが笑う。
「待ち合わせ場所にここ使うなんて、ガキの時から変わんねーな、お前らは」
「ココが一番素直に話が出来んの。ハイ両替よろしく」
カウンターに片頬ついてニコニコのおじさんは、俺が渡した千円札を2枚受け取り、ジャラッと小銭を渡してくれながら言った。
旧式のマシンは大量の小銭がいる。イマドキこんなマシン使ってるとこないよな、と苦笑いしながら東矢の方へと行った。
140キロのマシンを据えたケージで東矢はホームラン級の当たりを連発していた。バッティングフォーム、昔とちっとも変わらない。
左打ち。打つ瞬間、右足を少し上げてから踏み込んで――……振り切る。キィン! と打球が上方の的に当たる。
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