《ガーディアンズ1  ワルツ》

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《ガーディアンズ1  ワルツ》

   一章 「いやな天気ね」  東の空を見上げて呟く。元は真っ白だった、今は薄汚れたジャケットの襟を左手であわせ、少し身震いをした。  外気温はマイナス三度。ヒーターは全開だが、車内の温度はこの地方にはいってから十度を超えたことはない。 「雪が降ってもおかしくないか」  そうは言ってみたものの、実際に雪を見たことはない。知識の中にあるだけだ。このくらいの気温になれば降るのじゃないかな、と思っただけだ。 「雪?」   リヤシートで仮眠していたゴルドは“雪”という言葉に反応して目を覚したようだ。ゆっくりと起きあがり、大きなあくびをする。 「なんとかならないの? このボロヒーターは」  あたしは二、三度ブーツの踵でコンソール周りを蹴る。そんなことをしてもどうにもならないのだが、ま、性格の問題だろう。  後ろのシートで、その様子を見ていたゴルドは、ヒーターの件には触れず、左右の空を見比べて顔をしかめた。  運転席のヒロは、あたしの言葉にまったく反応せず、黙ってハンドルを握っていた。     
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