Tail.1

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　カチャリ、と鍵のかかる音がした。
　栞を挟んで、物語を止める。
　ぐぐ、と伸びをして、椅子から立ち上がった。
　扉に忍び寄り、ゆっくりとドアノブを回してみたが、今夜も扉が開くことはなかった。
　机の上に置かれた時計は、十時を過ぎたことを告げている。
「……寝なくちゃ」
　時計の横に置いた、ネコの形をしたカレンダーを手に取る。
　口に咥えた魚には「March」と書かれている。
　背景の海には数字の書かれた魚や貝がいくつもあり、ほとんどにバツが付けられている。
　今日は三月の二十七日。ペン立てからペンを取り、「27」の上にバツを付けた。
　クローゼットを見やる。
「あと、三日」
　もう一度カレンダーに目を向け、赤く印を付けた「30」をそっと指でなぞり、ベッドに飛び込んだ。