第19章 君を迎えにゆく

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第19章 君を迎えにゆく

わたしは気持ちを切り替えて仕事に集中した。他にできることもないし。 だけど、うちの会社の場合過労死寸前まで勝手に仕事を詰め込むわけにはいかない。勤怠は厳しく報告を義務付けられているし、社長も相変わらず目を光らせている。 職場全体にそういう意識が植え付けられているから、グループ長からもお前一人で仕事を抱えようとし過ぎだ、と既に何度も警告を受けていた。つまりは休みも取らずにひたすら毎日仕事だけするってわけにはいかなかった。当たり前だけど。 結果休日がほどほどの間隔で必ず入る。これまでも勿論ずっとそうだったはずだけど、いざ完全に一人になってみるとやっぱりどうしようもなく時間を持て余すことになった。 松葉くんと関係ができる前、まだ米村さんとの間がこじれていない時はゆっくり彼に会いに行ける休みの来るのが待ち遠しかったくらいだったし。一方で彼に再会する前はほとんど正気じゃなかったから、仕事中かオフ状態かに関わらず常に身の置きどころなく内心でのたうち回っていた(それもそれでどうかと思うが)。 だから、ぽかんと空虚そのものな気持ちで埋めようもない時間を前にして途方に暮れるのは今回が初めてかもしれない。     
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