ありふれた恋の物語

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 そういえば、互いにどこの部位が病に侵されているのか話したが、余命については話して無かったなと思った。 「俺は、入院する時に余命が5ヶ月しかないと言われたから、今はもう4ヶ月かな」 「え!?移植の期限まであと1ヶ月しかないじゃん!」 「そうだな。でも、多分無理だと俺は思っているよ。ドナーって見つからないらしいじゃん」 「諦めたらだめだよ」  俺の言葉を聞き、彼女はいつもの明るさに陰りを見せた。  どうやら諦め気味の俺の態度が気に食わなかったらしい。  自分の言葉を訂正して謝る俺に対し、彼女は「怖くないの?」と聞いた。 「何が?」 「死ぬことが」 「んー。まだ実感がわかないからなぁ。あと4ヶ月で死ぬなんて。根拠もないし。まだ怖くないな」  俺が怖くないというと、彼女は大きな目を更に見開き、驚いたような表情を見せた。  お返しに次は俺が質問をする。 「君はあとどれくらいなの?」 「あ!気になる?気になるよね!」といい、少しもったいぶったあと、彼女は残された時間を告げた。 「僕はね、あと3ヶ月半くらいかなぁ」  俺よりも半月短かった。 「君こそあと2週間しか期限がないじゃん」 「大丈夫!もう手術の日程は決まっているんだ!」     
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