第1章 妹だって言ってんでしょ!

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「名前は?」 「1年A組、佐倉(さくら)直太朗(なおたろう)」 「今朝、何食べた?」 「ご飯、味噌汁、焼き魚」 「これ、何本に見える?」 「2本」 「いえーい」 「…」 養護教諭の遠野(とおの)織子(おりこ)が真顔でジョークを飛ばすのはいつものこととして、俺の体調は至って普通。 丸1日は様子を見るようにと言われたが、様子を見るってのは何をしたらいいんだ? …まあいい。 もう授業は始まっている。 さっさと保健室を後にしようとする俺を、三好燐火が呼び止める。 「ヲタ朗くん、これ…」 「あっ…」 俺の、携帯が…。 画面にヒビが入り、少し、折れ曲がっている。 さっきの拍子に、身体の下敷きになったのか。 こいつは…もう…。 「いつも、頑張って勉強してるよね。教室で」 三好燐火が呟く。 俺が携帯やキーボードを広げて作業している姿を、当然この女も見ていたはずだ。 何だか、急に恥ずかしくなった。 「勉強なんて、高尚なもんじゃないよ。楽しいから、やってるだけだ」 「へえ、一体何を?」 「…競技プログラミングだよ。与えられた問題を、プログラミングの技術を使って時間内に解く」 彼女は感心したような素振りを見せ、次第に残念そうな表情へと変わった。     
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