事実は小説は奇なり

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「そこにいた子、瑠衣、私の友達なの。何もかも聞いてるんだけど。どういうことか教えてくれる?」 彼は慌てて顔面から汗が吹き出るかのように赤くなり、そして次第に青くなっていった。しばらく沈黙が続く。 「黙ってないで、なんとか言ったら?」 「玲奈ちゃん、瑠衣ちゃんの友達なの?なんで言ってくれなかったんだろう」 はっ?お前の第一声は私への謝罪ではなくそれなのか? 「百歩譲って飲み会や連絡先を交換するのはいいよ。でもさ、旅行はないんじゃない?私に悪いとか思わなかったの?私への誠実さは?」 「ごめん」 「別れるのは簡単だから、しばらくは反省してください」 黙っていたが、あいつが口を開いた。 「実は、言わなきゃいけないことがあって」 「はい」 「この前、後輩と飲みに行ったんだけど、何故か観光に行こうって話になって。2人で翌日紅葉狩りしてきたんだ。その後はすぐ別れたけどね。だってあっちには遠恋してる彼氏がいるし」 コイツはほんまに訳の分からないぶっ込みをするやつだ。 「そうなんだ。マジで反省してくださいね」 しばらくの沈黙。 「玲奈ちゃんは、何か隠してることない?」 「あるわけないじゃん」 私はすぐに言い切った。
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