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第二章 御歌(ぎょか)
1ページだけのいたって短い章です。中宮璋子を慮ってわたしの作ったつたない和歌一首と、西行法師の和歌二首がほぼすべてを語るような、第一章への返歌(ここで云えば返章?)とも云うべき短い章です。返歌とは和歌の世界では長歌というものがありまして、その長歌に応えるような、それを一歌で要約するような和歌を末尾に一首置くのです。この形式にここでは則ってみました。蛇足ですがこれはわたくしこと著者・多谷昇太が歌人であるがゆえの(小説中に和歌をたびたび引くこととも合わせ)こだわりです。またさらなる蛇足ですが、長歌と云えば奈良時代の高橋虫麻呂という歌人のそれが圧巻ですよ。ほととぎすや筑波山を歌ったもの、あるいはわたしの一番好きな「河内の橋を渡る歌」などがあります。まるでわたし自身が過去世で虫麻呂本人だった(?…それでは虫麻呂の名折れだ!)のではないかと思えるほどに好きなのです。ご興味のある方はぜひどうぞ読んでみてください。一般的には「筑波山に登る歌」のほうがしみじみと心に響くことでしょう…。いや、脱線しました。では第二章をどうぞ。
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