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第一章 散るさくら
中宮と北面の武士、本来言葉さえも交わせない身分の違いを超えて一度切りの逢瀬を果たします。二人とも死を真近に予期してのいわば決死行でした。方やは数年後の雲隠れ(貴人が死ぬこと)を、方やは社会的な死(?)である出家を留意してのことと思われます。愛憎と毀誉褒貶の渦巻く浮き世にどれほど身を入れても、拘泥しても、結局はその入れ込んだ分だけ人は苦しむのかも知れません。それへ「もろともに我をも具して散りね花(=桜花)憂き世を厭うしるしある身ぞ」と詠んで敢然と憂き世を捨てて出家した西行法師。その年23才の、青年佐藤義清。将来を嘱望された北面の武士でありました。ではその折り二人の桜の散り様を…桜吹雪のさまを、どうぞごらんください。
【おそらく北面の武士の装束はこれだと思います】
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