ママはいつも雨の中にいる。

4/4
前へ
/37ページ
次へ
パチン、と 小さな音を立てて電気がつくと そこはほとんど何も無い、ガランとした部屋だった。 雨はあたらなくて 風も吹き込んでこないけど どことなく寒くて… 「おいで」 女の人はそう言って ボクを小さな電気ストーブの前に呼んだ。 ふんわりと良い匂いがするタオルでボクを包んで 優しくなでるように、濡れたボクを拭いてくれた。 ひんやりとした部屋で ボクと女の人がいる場所だけが 温かい。 雨に濡れて すっかり疲れたボクは リズムよく撫でられる背中に 気持ちよくなって いつの間にかぐっすり眠ってしまった。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加