ぼくは主人公ではありません。

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「今日は寒いね、小虎。」 ボクを膝に抱え 窓辺から空を見上げるこの人は ボクの飼い主だ。 とてもやさしい。 いつも大きくて温かい手で撫でてくれる。 ボクの名前を呼ぶ声は穏やかで だからボクは、この人が大好きだ。 温かくて気持ちよくて ボクは喉を鳴らす。 飼い主はそんなボクを見て 満足そうにする。 もうすぐ雪が降る。 葉っぱを落とした広葉樹が 寒そうに震えるこの町に。
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