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戻ってきた駐在さん達は皆顔面蒼白で、必死に走ってきたらしくゲエゲエとえずいている人もいました。
「どうでした?」
神主さんが駐在さんに問いかけます。
駐在さんは膝に手をついて肩で息をしていましたが、ゆっくりと顔を上げ、
「死んでた……首……吊っとった」
と言いました。
その後、◯◯県警察と書かれたパトカーと救急車が何台も境内に入ってきました。
その日のうちに再び山に入り、山の中腹で首を吊っていた猟友会の人達の遺体を降ろしてきました。
神主さんは正装して山に同行し、周囲をお祓いしながら皆を守るように山から降りてきました。
猟友会の人達は山道の両脇に並ぶようにして首を吊っていたといいます。
山犬を撃ちに山へ入った猟友会の人達が集団で自殺。
ご丁寧に真新しい縄まで用意して。
考えられません。
他殺の可能性が最も高いと判断されたらしく、山道に黄色いテープが貼られ山は封鎖されました。
盆踊り前日。
情報は隠されました。
猟友会の人達が集団で亡くなったのを知っているのは、昨日山に入った大人達と警察、町の医師達、役場の人達、遺族、そして境内にいた私達だけでした。
猟友会の人達を殺害した犯人が近辺をうろついているかもしれない中、果たして盆踊りを開催すべきかどうかが話し合われました。
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