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その姿勢のまま老人の霊は消えました。
気がつくと皐月を見守っていた霊達も消えていました。
隣に立っていた少女が皐月の頭を撫でてから消えました。
男の子も少女を追うように消えました。
「…………………」
静寂が辺りを包む中、皐月は呆然と座っていました。
そして、
「わあああああああ!!!!!」
声を上げて泣きました。
ものすごい泣きっぷりで、目から滝のように涙が溢れ落ちるのが見えるほどでした。
誰に憚ることもない大きな声で子供のように泣きじゃくる皐月を見ながら私も大声で泣きました。
ずっとずっと続いてきたお役目が終わった。
許されたのだと。
深い喜びと安堵、そして感謝の思いが爆発しました。
私達はただただ大声で泣きました。
どれほど泣いたか覚えていませんが、泣き疲れて皐月が眠りに落ちたところで私は目を覚ましました。
目を覚ました私は病院に走りました。
皐月が目を覚ましているかもしれませんでした。
病院に着いたのは早朝でしたが、病院の玄関が開いていたのでそのまま病棟に入って行きました。
病室の皐月はまだ眠ったままでした。
閉じられた瞳から涙が一筋流れて線を引いていました。
私はその寝顔を見てふうと息を吐き、椅子を引き寄せて皐月の傍らに座りました。
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