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の歌に合わせて覚えたての振り付けを夢中で踊ります。
途中間違えてしまい慌てそうになりましたが、よく見ると周りの人達も結構デタラメに踊っており、こんなもんでいいのかと納得してからは楽しくて仕方がありませんでした。
視界いっぱいに煌々と灯る提灯の灯り。
その赤い光と後ろの暗い夜空の中で音頭に合わせて夢中で踊る。
その何とも言えない高揚感と一体感に陶然となったのを覚えています。
まさに夢の中にいるようでした。
実際にその後、盆踊りの輪の中で踊る夢を何度も見るようになります。
はっきりと覚えているのはこの辺りまでで、その後の会話などは昔のことであまり覚えていません。
その一件ですっかり皐月に恋心を抱いた私は、度々皐月にお願いしては神社で踊りを教えてもらうようになります。
皐月は神社の分家の娘で神社からほど近いところに住んでおり、よく神社の手伝いをしていました。
お祭りの際に声をかけてくれたのは本家のお婆さん、今の神主さんのお母さんに当たる人でした。
後にわかったのですが、このお婆さんがなかなかの傑物で、名前をシズさん、シズ婆さんと呼ばれていました。
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