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皐月は分家の娘であり、中学卒業後は巫女の職に進むことが決まっていたので当然のこと、私達は皐月目当てに神社に通い詰めていたので神職さん達の覚えもめでたく、見習い小僧のような感じでお小遣いをもらっては神社のお手伝いをしていました。
数時間みっちり掃除してその日のやることは終わりました。
シズ婆さんの入れてくれた麦茶を縁側に座ってご馳走になっていたら、二人の人影が境内に入ってくるのが見えました。
二人はそのまま参道を外れて山の中に入って行きます。
やがてオラァ!やらアア!という声が聞こえて来ました。
決闘です。
私達の町ではなぜか、喧嘩をするときは神社で行うという慣習がありました。
体育館裏ではなく神社です。
当時の学校にはまだ番長のような制度があり、不良達の中にボスがいるのが普通でした。
「金森先輩だ」
と兄が言いました。
金森先輩とは私も兄もよく知る人物で兄の1つ上になります。
幼い頃はシンちゃんと呼んでよく遊んでいたのを覚えていますが、中学に入ってからグレ始め、なんだか疎遠になってしまった幼馴染です。
二年生の金森先輩が当時の番長だった三年生の生徒に決闘を申し込んだようでした。
金森先輩は地元の暴走族の集会に顔を出しているそうで、親達の印象はあまりよくありません。
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