紫陽花奇譚

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 立てた膝に乗せたヒナタの手から、ぷらん、とぶら下がる氷菓子。顔を少し傾け、サクッとかじりとる。心地よい冷たさが喉をくすぐり、深く、腑に落ちていく。思わず目を細めた。満足し、目を開けると、やはり視線はこちらに注がれている。目が喉元に釘付けになり、かすかに口が開いている。隙だらけのヒナタに、顔を寄せてみた。 「何、見てるの?」  おわぁぁ!とすっとんきょうな声を上げると、顔を背け、ヒナタはごまかすように氷菓子をちびり、と小さくかじった。 「あ……、私が食べたところ、かじった」 「な……!なんだよ!おかしな事言うなよ!」 「こっちかじればいいのに、わざわざなんでこっちかじるの?」
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