1.出会った時

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朝起きて、準備をして、電車に乗って会社へ行く。 終わればまた電車に乗って、家へ帰って、寝る。 同じことがくりかえされる日々はつまらないともいえるが、俺にとっては実に安定した日々といえる。 変わったことが起こったり、輝かしいなにかがあったり、そんなもの俺には必要のない不安定なものだ。 誰に見られてるわけでもなく、褒められるわけでもない人生なら別に死んだってかまわないのだけど、趣味も人間関係も地位も何もない俺のような人間にとっては、そんなことを考え、実行して知らない誰かに迷惑をかけることすらあまりに申し訳なくてできはしないのだ。 でも、これでいい。 俺が欲しかったのは楽しい人生や毎日じゃない。 ただ、誰にも干渉されず、咎められることもない安定した人生。 これが、理想。 そんなモノクロの毎日に花が咲き始めたのはこのくらいの季節だっただろうか。
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