1.出会った時

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それから俺はその子のを傷つけないようにゆっくりと鋏で袋を切り開いていった。 涙の跡が残った、閉じた瞳。 ソファに寝かせてみるとどれだけ劣悪な環境にいたかがさらに痛烈に伝わってきた。 しかし、驚いたのはそこだけではなかった。 その子の髪は雪のように真っ白だった。 長い睫毛も髪の色と同じく真白で、肌は白いを通り越して透明のよう。 …アルビノだ。 先天性の遺伝子疾患。前にそれとなくつけていたテレビで言っていたことを思い出した。 本来白くはない動物が稀に真っ白な姿で生まれてくることがある。それがとても低い確率ではあるが人間で起こることもある、と。 そうやって当てはめていくとこの子がアルビノであると確信できた。 親は、それが原因でこの子を…? 〝失敗作〟 昔どこかで聞いた言葉が俺の頭をよぎった。 本当に悲しい言葉。 心無い人間の作った、悲しい言葉。 産まれてきたものに対してもの扱い。 望んでそう産まれたわけではないのに。 理不尽で傲慢な誰かが突き刺すように放った、言葉。
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