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アクマとテンシ、この相反する存在が話せるのは、存在自体は反対という考えで問題はない。しかしながら、その二つの存在が“近く“に存在するのだ。テンシとアクマの距離は近くないかもしれないが、距離感は最も近い。そして白の空間と黒の空間で互いのテリトリーが無意識に決められている。無意識に、意識なくともきめられているのだ。
なぜなら、お互いの存在は、アクマとテンシは先ほど作られたと言ってもあながち嘘でないからだ。それ故にお互いは天使として、悪魔として、強固なものは全くと言っていいほどないのだ。
*****
後日、二つの存在は再び形成される。
曖昧なものから、明確的な何かを持って、あるものを議題として、会話される。操り人形のように、しかしぞんざいに扱うことなどできない。二つの存在は一つの存在でもあるからだ。
今日も議題として挙げられたものに、悪魔的観点でアクマが、天使的観点でテンシが話をしなくてはならない。
「さてと……、今回挙げられた議題は、天才は何故、世界から厳しい目で見られているか、……、ということのようですけど…………」
若干おどおどし、歯切れが悪い言い方をしたのはテンシだ。
「そんなの簡単だろ。だって人間はよお、お互いを利用してんだから自分より賢い人間がいるならそれを 利用するのは当たり前だろ?」
「そんなことは無いですよ! 人間はお互いが協力しているんです!」
激しく、テンシは抗議する。そこにはやはり、天使的観点の発言で、しかしながらどこか悪魔的観点から話しているようにも感じてしまう。
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