拝殿内での怪異

4/11
前へ
/26ページ
次へ
だが、初めての土地という事も手伝って、関西の神社は随分のんびりしているのだなという程度にしか認識しておらず、外で待機しているK君達も、この程度の時間を要するのを承知で待っているといったのだろうと、待機所で祈祷開始を根気よく待ち続けた。 ようやく拝殿へご入場下さいと案内の神職が訪れた時に、時刻は2時半近くとなり、周囲は、ざっと見積もっても5、60人の昇殿希望者が犇めいている。 関西では、かなり人数が集まるまで祈祷を始めないのだなと軽く考えていたが、これはずっと後に、そうではなかったらしいと指摘される事となる。 参拝者達が待機所から移動を始めたが、私は早くに受付を済ませていた為、逆に待機所出口からは遠く後手となり、拝殿に辿り着いた時、既に大勢の参拝者が着座した後だった。 着座といっても、このH神社の拝殿には、当時椅子が無く、床に直接腰を下ろして祈祷を受ける形式を採っていた。 拝殿内はかなり広かったものの、入っている人数が人数である。後年、100人余を収容したお寺の会場で怪談を語った事があるのだが、あの感じで測ると、どう考えても70人位は詰めていたのではないだろうか。 私が腰を降ろしたのは、後方から3番目位の列のほぼ中央だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加