関西への取材行

2/6
前へ
/26ページ
次へ
「人の子は、なんで自分だけは特別と思うのだろう?どんな災いも、どんな呪いも、どんな妖も「自分だけは大丈夫だ。」と言って、入ってはいけない、触ってはいけない領域に近づいてくる。特別な人の子なんかいないのに。ただ、まれにどういう結果になっても良いと覚悟を決めて来る者がいる。そういう人の子は厄介だ」 妖怪が視えるという少女から、かつて、こんな事を言われた事がある。 2009年の5月。 私は関西在住のK君から、取材を兼ねた怪談会に参加しませんかとのお誘いを受けた。 K君とは、現在活動を休止しているM出版から発売されていたオカルト雑誌「F」のファンサイトにて、知己を得た。 この「F」のファンサイトには、出会い系目的や山師のような人物も大勢登録をしていて、辟易する事もあったが、中には、ここでなければ知り合えなかった「本物」に巡り合ったりと、正に玉石混合を体現したようなSNSであったと思う。 K君は、そんな中で、ごく標準的なオカルト・怪談好きのユーザーであった。特に自身で何かを体験しているような人物ではなかったが、怖い話が大好きで、関西の代表的な怪談本「S・M」の公式ファンサイトにも登録しているとの事であった。 彼は私がSNSに上げる怪談取材の裏話に興味があったらしく、その記事に対してよく書き込みをくれて、また、廃版で入手しづらいオカルト映画のサントラを見つけてはプレゼントと称してして送ってくれたりと、お互いに良い関係を築けていたと思う。 「F」のファンサイトが無くなってしまってからは、とんとご無沙汰してしまっているが、元気しているだろうかと、今でも思いを馳せる事がある。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加