関西への取材行

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Mさん宅に到着すると、すでに主だったメンツは集まっていて、それぞれが軽く自己紹介を行った。 K君の説明では、6名集まる予定が、1名急な仕事でどうしても参加出来ず、現場には初顔合わせの4名がいらしていたが、そのうちの1人で、K君と一緒に迎えに来てくれたZさんは「F」のファンサイトで、既にリンクを繋げている方であった。 程無く怪談会は始まり、各自が、自身の体験、或いは知己から聞きかじった体験談などを語り始める。百物語の様なルールがある訳でも無く、それぞれが車座になって座り語るだけのシンプルなものだが、素人の方が語る怪談を聞いたのは、恐らくこの時が初めてだったかも知れない。 それだけに新味があり、説得力に富む。 特にZさんの語られた、稲荷神社で見たという喪服の女の話と、大学時代の友人の奇怪な因縁話は私の興味を惹き、詳しく採話をさせて戴く事が出来た。 それぞれの語りが一巡した後、K君が私に話を振って来た。 「やっぱり怪談とか集めていると、奇妙な事とかあるんですか?」 彼の問い掛けに対して、真っ先に頭に浮かんだのは、半年前に遭遇した、H美さんに纏わる逸話と、その場に現れたものとの遭遇事例である。 「…人ではないモノが、来たみたいな話があるよ…」 「ええ?どんな話なんですか?」 機会を得たとばかりに、私は「例の事件」をメンバーの前で語った。
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