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私がH美さんに纏わる事件について、この時初めて他者に語ったのだが、強者ぞろいの怪談フリーク達も場が静まり、言葉を失ってしまった。
「それって、どういう話なんですか?」
K君の質問に対して、「判らない」と答えるのが精一杯である。
実を言えば、私自身が回答を求めてこの場に来ている。自分自身の知識に未知の領域があったりすると、うっかり「それ」に遭遇してしまった場合に遅れを取ってしまう。この時がまさにそうだった。
場所が場所だったら、体験者共々葬り去られていたのではないか?
そんな事が今後起こらないよう、後学の為に類似の話を探している。皆さんはそんな話を聞きかじった事はないだろうかと言うのも、今回の取材の趣旨なのだと語ってみた。
だが参加者の皆は首を振り「初見の話だ」「人霊という感じではない」などという意見が場に飛び交っただけで、そこから先の進展に関しては収穫が無かったといえる。
「やっぱり本腰の方の話は違う」とK君が感心していたが、実はこの頃、私自身もとんでもない勘違いをしている真っ最中だった。怪談蒐集をしている人間は、皆、大なり小なりこの様な目に遭っていて、そういう方たちは事例に対してどう対応しているのだろうかと、勝手に考えていたのである。
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