関西への取材行

6/6
前へ
/26ページ
次へ
現在の視点からでは、これはとんでもない錯誤であって、私がこれまで出会った、所謂「幽霊が見える人達」が、他の人間にも「それ」が見えていると思い込んでいたのによく似ている。 怪談会はひと区切りして、お昼に出前を頼んでMさん宅で昼食を取り、午後から地元の神社に厄払いを兼ねた参拝に出掛ける手筈となった。 時折妙な手合いとぶつかる事もあったのだが、見知らぬ土地へ出掛け、そこの人達と知己を得て、こうした時間を過ごすのはなかなか楽しいものである。少なくともその時点までは、これから起こった出来事に対して、まったくのノーガード、無防備状態だったいう事を先に申し上げて置く事にする。 「魔」というものは、そうしたこちらの油断や隙間を突いて、慌てふためく姿を眺めては、ほくそ笑む性分のものなのかも知れない。 片付けがあるからと参拝を辞退したMさんを残し、怪談会に参加していた私達は、参加メンバーであるZさんのワンボックスに乗り込んで、地元にあるH神社という場所に向かう事となった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加