拝殿内での怪異

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ここから先は、現場で起こった事と、その時の私の心の動きを極力詳細に再現してみようと思う。 Zさんの運転するワンボックスに載せられて、私が案内されたH神社は、最寄りの神社というので、地元の氏神的なアットホームな場所を想像していたら大きな間違いで、大鳥居に広い境内、重厚な社殿を備えた立派な社であった。 何の予備知識もなしに連れて行かれたので慌てて境内の案内板を見ると、創建は紀元前に遡るという、とんでもない古社である。もう少し詳しく神社の詳細や祭神などを確認したかったのだが、K君を始めとする地元メンバーは、場慣れ感が強過ぎるのか、すたすたと手水舎で手と口を漱ぎ、拝殿に向かってしまったので、私も急いでその後に続き、賽銭箱に賽銭を入れ、立派な彫刻の施された拝殿前で柏手を打った。 この後厄払いの昇殿祈祷に移る予定であったが、ここで些細なトラブルが発生した。 メンバーの1人のYさんが、K君の説明が足りなかったのか、連絡の趣旨をよく理解していなかったのか不明なのだが、昇殿費用を持って来ていないと言い出した。彼はメンバーの足並みを乱して恐縮し、皆さんは昇殿してくればと口にしたが、そういう訳にも行かないだろうという話になり、結局のところ、東京から参加している私だけが昇殿して、地元メンバーは境内を散策しながら祈祷の終わりを待っているという流れとなった。
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