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「へ?一生が何かやってる?」
朝食を食べる侑平に、そんな情報がもたらされたのは、春も麗らかな日。今日はのんびりしようと思っていたのにと、ちょっと不満になる。
「そうなんですよ。あのデカい図体でこそこそと……気になってしまって」
で、情報をもたらした薬師は、苦笑しながら語った。おそらく、侑平の面倒だという気持ちを見抜いている。
「まあ、そうですね」
侑平はデカい図体という言葉に、まあねと頷いた。一生の体格は、一般的な大学生と変わらない。そんな奴がこそこそしていては、目立って当然である。
「それも、台所から食料を持ち出してるみたいなんですよね」
「あー」
それで薬師は、のんびりしている侑平に、朝からそんな情報をもたらしたのか。台所番でもある薬師からすれば、つまみ食いは見逃せないのだろう。
「でも、ちょっと待ってください」
侑平は味噌汁を飲みつつ、情報を整理するからとストップを掛けた。調べるならば、真面目に考えなくてはならない。
「最近、一生がこそこそと出掛けている。しかも台所から食料を持ち出している。行き先は何故か、寺の裏側、お稲荷さんのさらに向こうの、ちょっとした森の中ですよね?」
「はい」
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