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「聞いてないのか?」
「ああ。妖怪としての性質が違うから、用事がなければ話さないよ」
「へえ」
妖怪の間の関係って不思議なんだなと、侑平は神社のベンチに座って悩むことになる。そう言えば、崇はここの遣い狐だ。鬼と狐がいつ仲良くなったのか。そこからして謎だった。
「じゃあ、一生の後を尾行るのか?」
そして崇、その秘密を暴いてやろうと意気込む。手伝ってくれるらしい。
「そうだな。ここで見張っていれば、そのうちやって来るはず」
侑平もそのつもりで来たので、戦力を得てにっこりだ。それに暖かな春の日。のんびりしたかった侑平にとって、一生を調べるという名目で日向ぼっこ出来るのはいい。
「お爺ちゃんかよ」
「ほっとけ」
呆れてくる崇に、色々と忙しかったのと侑平は無視だ。しばらく、ウグイスの声を聞きながら、心洗われる時間を過ごす。
「あっ!」
しかし優雅な時間はすぐに終わった。何かを、多分食料を抱えている一生が、周囲を気にしながら歩いてきた。
「あれだけ見ると、犯罪者だな」
「なるほど。薬師さんが調べてくれと頼むはずだ」
神社の植え込みに隠れながら一生を見た二人は、薬師が心配になって納得と頷いていた。あれは目立つ。しかも空き巣に入ったみたいだ。
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