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そう、一生がこそこそやっていたのは、仔猫の世話だったのだ。しかも普通の猫ではなくーー
「しかも猫又の仔猫ですか。困りましたね」
「ごめん。でもさ」
「どうして、あなたが面倒見てるんです?」
謝る一方の一生に、説明しろと薬師は逃さない。笑顔だが圧力がある。
「一生。言った方が身のためだ」
侑平はちゃっちゃと白状しろ促した。すると、一生の顔が真っ赤になる。
「まさかあなたの?」
「ち、違う。断じて異種間で作った仔じゃない!」
鋭くなる薬師の目に、ついに一生は口を割った。しかし、言ってる内容が凄い!
「その、この仔猫たちの親の猫又とは、古い付き合いなんだよ。それこそ、色々と世話になったんだ。でも、そいつ……」
「消えてしまったと?」
薬師の問いに、こくりと頷く。
「世話とか、出来ない人なんだよ。でも、まあ、本性は猫だからさ。子どもが出来ちゃったんだよね。発情期で。棄てておいていいって言われたけど、やっぱ無理で」
「ーーつまり、その仔猫たちは育児放棄されたってこと?」
そんなことあんのかと、侑平は驚いた。しかし、よくあることらしい。
「妖怪ですからね。世代を繋ぐことは二の次なんですよ」
「はあ」
複雑と、薬師の説明に侑平は変な声しか出ない。
「仕方ないですね。その優しい心に免じて、一人で狩りが出来る大きさになるまで、寺においていいですよ」
「ーー」
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