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「二日酔いでした。……教えてほしいことがあるんだけど……。県経済連合会のクリスマスパーティーって、知らないかしら?」
社長の愛人である由紀子なら、総務課の三井が知らない社長の行動も知っているのではないかと考えていた。
『分かりますよ』そこで由紀子が声を潜める。『男たちの悪だくみパーティーです』
「なによそれ?」
『表向きは色々な業種の人が集まる懇親会ですけど、来年の行事や大型プロジェクトを公開しあって仕事のやりくりをするそうです。公共事業の談合もあるらしいです』
「そんなこともあるのね。社長も参加しているの?」
流石、愛人関係の寝物語に節度はないのだな、と美智は感心してしまう。
『もちろんです。……それが、どうかしたのですか?』
「そのパーティー、どこで開かれているか、わかる?」
『例年通りならホテル桃水閣です。でも、行っても会場には入れないと思いますよ。社長に用事なら、私から連絡を入れますが……』
「そうじゃないのよ。ありがとう」
美智は受話器を置いた。思いついたら動いてしまう性質だ。会社を出ると自分の車で駅の反対側に向かった。
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