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日米合同特殊憲兵隊二等陸士 相原陽菜 12歳
少女は自転車を漕いでいた。
小学生らしく、ピンクで派手な、補助輪を外したばかりというような子供らしいデザイン。前のかごにはランドセルが入っていた。赤のランドセルには、防犯ブザーがかわいらしい犬のストラップとともにぶら下がっていた。
時刻は夜八時半。この時間に少女が一人で自転車を漕いでいたら警察に保護されるか、あるいは周辺住民に通報されてもおかしくない。立川横田基地周辺の米国かぶれの店の前を自転車で走っていく。
少女は一件のバーの前で自転車を停めた。細い路地にある、テーブル席も無いような小汚いバーには、不釣り合いな毒々しいネオンの看板が掛かっている。
少女はランドセルを手に持ってバーに入った。数人の客はバーの奥で小声で話していた。
「Who the hell is she?」(誰だあいつは?)
「It's just a yellow bitch. I gonna deal with her」(ただのガキだ、俺が相手するさ)
一人の白人が立ち上がった。白人にしては小柄で、非戦地であることもあって海外ブランドのTシャツとルーズなジーンズを穿いている。
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