第二章

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 二人は、裕二が転職した会社で知り合った。ペアでチームを組み、お互いの長所を生かし短所を補ってセールスの仕事を順調にこなしていった。田中は裕二のセールスの才能に惚れこみ、プライベートでも意気投合した。 「仕事からの付き合いだったんですね。彼、仕事の話はしてくれなかったんですよ」 「そうですね。私と違い彼はインテリで口も達者でしたからね。ウイットっていうんですかね? お客さんの心を掴むのも上手かったんですよ。だから長続きしなかった」 「だから、ですか?」 「だからです。裕二は頭も良く根は良い奴だった。わかりませんか? 私たちは詐欺紛いの商法で荒稼ぎする会社の一員だったんですよ」
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