第三章

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 壁に背を着け、田中はサッシとカーテンの隙間から外を注意深く観察し澄子に指し示した。 「結局、裕二が脱落すると同時に、私も転職しました。そしてすれすれじゃあなく、マジにヤバイ仕事に手を染めてしまった。ごらんなさい。路駐しているあのクルマに男が二人乗っているでしょう。あれは詐欺グループの監視役ですよ。連中、いかにもって顔つきでしょう? ヤクザでは食えないものだから詐欺グループを組織している連中です。ノルマが達成出来ない手下からは、町金から金を借りさせてでもペナルティを払わせる。詐欺も今ではビジネス感覚なんだ。逃げ出そうとする奴は半殺しにされる。いや、殺されているのかもしれない。リアルデスゲームなんですよ」
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