第四章

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 澄子が指し示す先にはテーブルの下に並べられた袋の束があった。    田中は液体洗剤やブラシなどが詰まった重い袋を易々とテーブル下から引き出すと、中を掻き分け澄子のスマフォを難なく探し出した。    その時、玄関のチャイムがけたたましくがなりたて、二人は一瞬石の様に固まった。その二人の姿がドアの向うから見えているかのように、インターフォンから不気味な低い声が室内へと進入する。 「田中、居るんだろう? 用があるのはお前だけだ、大人しく田中を引き渡せば住人は見逃してやる」
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