最終章

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 やがて朝が訪れると、田中はベッドに眠る澄子を確認し、サッシとカーテンの隙間からあの二人組みのクルマを確認した。犯罪組織に関しては素人の田中だったが、昨日居た二人組みとは違う面子に、何かしら違和感を感じていた。    田中は思った。  奴らヤクザにしては几帳面だ。もしやサツ? もしそうだとしたら、自分を餌にして組織に襲わせ、重大犯罪で組織を追い込むつもりではないのか? 警察に犯罪を防ぐ気はないという事か? 殺人事件などの方が彼らにとっては好都合だ、この部屋がヤクザに襲われても、きっと彼らは高みの見物と決め込むに違いない。ならば裕二の〝置き土産〟のこの女を自分の女にして、先手を打ち検察に司法取引を持ち掛ける方が得策ではないのか。
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