最終章

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 田中は冷蔵庫を明け食料を探すが、めぼしいものは無さそうなので、取敢えず澄子の本棚を物色してみた。そこへ澄子が目を覚ました。   「貴女(あんた)も賢いんだな。難しい本ばかりだ。医学部か?」 「まだ居たの? 薬学部よ。もう気は済んだでしょ! 早く出て行って!」  「いいや、暫くはここにやっかいになるよ」 「なんですって! 出て行かないと本当に警察を呼ぶから!」 「警察を呼ばれて困るのは澄子ちゃんの方じゃないのかな?」  睨み付ける澄子の左の目元がびくりと痙攣したのを認めた田中はほくそ笑み、裸のまま脱衣所へと向かった。 「そっちは、だめ!」
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