最終章

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「なぁ澄子、先に味見しなよ」  田中の為にコーヒーを淹れていた澄子の顔に一瞬影が差した。  「なぁに、念には念を入れようと思ってね」  その言葉に澄子は澄ました顔で、ショートケーキ大のケーキを手で摘み大きくかぶりつくと咀嚼(そしゃく)し全て平らげ、指に付いたチョコレートを口で(ねぶ)った。    澄子のねっとりとした仕草と、妖艶なくちびるに田中は欲情に再び灯がともるのを感じた。
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