第一章

6/6
前へ
/34ページ
次へ
「チェーン外しますから、兎に角、足退けて下さい!」  男は、澄子が一度ドアを閉めドアチェーンを外すと僅かばかり開いたドアから、からだを滑り込ませる様に玄関へと入ってきた。そして鍵を掛けドアスコープを覗き込んで、外の様子を伺った。その暫くの間に、部屋の外を男が二人、澄子の部屋の前まで駆け寄るとゆっくりと立ち去る気配を感じられた。 「どういう事なんです?」  澄子の問いに、相変わらず顔色の悪い男が振り返り「追われているんです。それで裕二に相談を、訳はゆっくり話しますから、すいませんがや水いただけませんか?」と、引き攣った笑いを浮かべ言った。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加