たいした恋じゃない

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「え。……え~……?」  さすがに触れてくるとは思っていなかったのか、丸美の表情が強張る。  チッと舌打ちをして、浮島は丸美の腕を掴んだ男子学生の後ろに立ち、「ねえ」と肩に手をかけた。 「あ?」 「おにーさんカッコイイね。鍛えてたりすんの?」  四人組は一斉に浮島を見て固まった。そして四人で目くばせするなり、乱暴に椅子を引いて次々と立ち上がった。 「なんだよ、やっぱ彼氏じゃねえかよ」  丸美の腕を掴んで座らせた男子学生は、頭の後ろをガリッと掻いた。 「チッ。男いんならアイソ振りまいてんじゃねえよ」 「アイソ振りまいちゃダメなのか?」  浮島はニコリと笑って訊いた。 「あぁ? なんだよさっきからオメー」 「振りまかなかったらなかったで、アンタみたいな男は文句言うんじゃねえの?」 「あぁあッ? 喧嘩売ってんのかあ? 男か女かわかんねーツラしてるくせに生意気言ってんじゃねえぞ!」 「ザンネン。それ、おれには褒め言葉にしか聞こえねーのよ」 「褒めてねえよこのブス!」  浮島のこめかみにピキッと血管が浮かぶ。浮島は横を通り過ぎようとする男子学生の股間を、思いっきり握った。 「……ッ!」 「へえ。いいモン持ってんじゃん」 「な……ッ!」 「なあ、ヤラして? おれ、絶賛セフレ募集中なんだよ」  股間を握られた男子学生はうずくまり、半泣きで「はあっ!?」と叫んでくる。 「ここだけの話さ、おれ男しかダメなのよ。しかもアッチの具合、よくホメられんの。よかったら試してみねえ?」 「だれが試すかよッ! このホモ野郎がッ!」
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