たいした恋じゃない

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「え~、そんなこと言っていいのか~?」  男子学生の前でしゃがみ、浮島はさわっと耳に触れる。ビクッとする男子学生の耳元に口を近づけ、他の誰にも聞こえないように息を吹きかけるように言った。言ってやった。 「おれ、アッチでバナナ切れんだよねえ」 「は……?」 「同じように男のも締めつけんの。キュウゥ……ってさ。そしたらみーんな気持ちよさそーに濃いのいっぱい出してくんの。奥にさ。種付けしようとしてくんのよ」  ペロッと耳を舐め、「おれ、孕めないのにな」と言うと、男子学生は耳も頬も真っ赤になって浮島を見た。そしてうつむいて、「クソ……っ」と頼りなく悪態づいた。  股間部分が膨らんでいるのを確認して、浮島は『ざまあみろ』と心の中で笑う。  おれをブス呼ばわりするから、そーゆーことになるんだよ。バーカ。
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