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まだ始業時間までだいぶ時間があるので図書室に向かう。
「おはよう貴子! 今日も綺麗だね!」
「もう、二階堂くんったら。『北川先生』って呼びなさいって言っているでしょう」
貴子は図書室の司書の先生だ。わりと若い先生。ベイベに年齢はいちいち聞かないよ。二階堂は僕の名字だ。二階堂純平。名前もかっこいいだろ僕。
「『先生』だなんて、ベイベに向かってそんなよそよそしい呼び方できないよ」
「はいはい、本の返却かな?」
「さすが貴子、僕が本を借りていることちゃんと把握しているじゃないか。本当は僕の気になっているんだろう?こんな日ぐらい、『先生』なんて立場を忘れてさ、僕にチョコを渡してもいいんだよ」
「二階堂くんは本当に面白い子ね」
僕が返却する本を差し出すと、貴子は淡々と手続きをした。貴子は真面目なベイベだから、生徒に手なんて出せないんだろう。不憫だな。
気持ちだけ察して受け取っておくよ。
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