第2話 フィーバーな登校

3/3
前へ
/16ページ
次へ
 教室に入ると、チョコの甘い香りがした。これは、あれだ。照れ屋なベイベが僕にさりげなくチョコを渡すため、チョコを教室で気化したな。僕は教室の空気を大きく吸い込む。うん。しかと受け取った。   「おはようベイベたち!チョコは授業中だろうが遠慮なく持ってくるんだよ!」 教室はすでにクラスメイトで溢れていた。教室にいたベイベたちが笑い出す。 「二階堂、そんなにチョコ欲しいの?」  茉莉花が言う。クラスの中心になっている目立つベイベだ。 「欲しいとも! ベイベからチョコをもらって嬉しくない男がいるか!」  またしてもベイベ達は笑い出す。僕はエンターテインメントの才能があるな。  僕は自分の席についた。もちろん真っ先に引き出しの中をチェック。チョコを入れる妨げにならないように置き勉はしてないぜ。何もないな。まあまだ今日は始まったばかりだ。 「おい純平、バレンタイン、期待したくなるのはわかるけどさ、今どき女子なんて友チョコで俺ら男は言うほどもらえないぜ。期待もほどほどにな」  後ろの席の亮介が言った。 「友チョコ?とはなんだい?」 「女子同士チョコを送るんだよ。女子はチョコ好きだし。友達同士送り合うんだよ」  「なるほど。うちのクラスのベイベは友達を大事にするベイベが多いんだな。いいことだ」 「お前本当に前向きだな」 「ありがとう」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加