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教室に入ると、チョコの甘い香りがした。これは、あれだ。照れ屋なベイベが僕にさりげなくチョコを渡すため、チョコを教室で気化したな。僕は教室の空気を大きく吸い込む。うん。しかと受け取った。
「おはようベイベたち!チョコは授業中だろうが遠慮なく持ってくるんだよ!」
教室はすでにクラスメイトで溢れていた。教室にいたベイベたちが笑い出す。
「二階堂、そんなにチョコ欲しいの?」
茉莉花が言う。クラスの中心になっている目立つベイベだ。
「欲しいとも! ベイベからチョコをもらって嬉しくない男がいるか!」
またしてもベイベ達は笑い出す。僕はエンターテインメントの才能があるな。
僕は自分の席についた。もちろん真っ先に引き出しの中をチェック。チョコを入れる妨げにならないように置き勉はしてないぜ。何もないな。まあまだ今日は始まったばかりだ。
「おい純平、バレンタイン、期待したくなるのはわかるけどさ、今どき女子なんて友チョコで俺ら男は言うほどもらえないぜ。期待もほどほどにな」
後ろの席の亮介が言った。
「友チョコ?とはなんだい?」
「女子同士チョコを送るんだよ。女子はチョコ好きだし。友達同士送り合うんだよ」
「なるほど。うちのクラスのベイベは友達を大事にするベイベが多いんだな。いいことだ」
「お前本当に前向きだな」
「ありがとう」
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