このお守りがあれば、ぼくはきっと大丈夫

穴山くんの受難

「あれ、浅井くんはドイツ語が分かるの？」隣でなぜか歯ぎしりしている浅井くんに、僕は問いかけました。「こんなことなら、ぼくもドイツ語を勉強しておけば…」

「穴山、お前、ヤベーぞ。俺はこの世界に召喚された勇者で、お前はそれを阻止しようとした得体のしれない魔物扱いになってる…。」

ふぇ？何それ…？そう言えば、保育園のライオン組さんのころ、そんなライトノベルのお話が大好きで、夢中で読み漁りましたっけ。いわゆる異世界召喚物という奴ですね！

あれ、あれれ？突然、めまいが…。今頃、先ほどの酸欠状態で体調が悪くなったのでしょうか…。

「浅井くん？ぼく、ちょっと…。」

ああ、今日の町のイベント。午後も出番があるのにどうしよう…ぼくは申し訳ない思いでいっぱいになりながら、気を失ってしまったのです。