実験

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「う~ん。そうだな。コミュニケーション上の実験というか……この場合は実験してみれば、理由が分かるということで、甲斐君よろしく頼みます」  おいっ!と内心突っ込みを入れたくなった朱莉だが、向井教授は、理由を知らせて甲斐に席を立たれるよりも、無難な言い方で誤魔化す方を選んだらしい。 では、あとは任せると心理学専攻の印南志保という生徒にバトンタッチして、早々に会議室を出て行ってしまった。  ガチガチになった印南が、そ・それでは~と裏返った声で今からやることの説明を始めるのを見て、甲斐の実験相手は、自分でなくても印南さんでいいんじゃないかと朱莉は思った。 「まずは、このこの電極のついたベルトを頭に巻いてもらい、指先にも同じようにサック型の・・・・」  必死で説明をする印南を、甲斐のイラついた声が遮った。 「どうしてそんなものを着けるんだ?」 「ひっ!ど・どうして?どして着けるかと申しますと、今からやってもらう実験で、どれだけお互いに反応が出るか確かめたいからです」 「ふ~ん。面白そうだな。で?どんな反応なら満足する結果になるわけ?」
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