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経済・経営トライアルゼミ
私には苦手な人間が二人いる。
この4月に有名私大に無事合格し、経済・経営トライアルゼミをとった星野朱莉は、目の前にそびえたつ、苦手なうちの一人の男を見上げた。
経済・経営トライアルゼミは、充実した内容面や、就職率の高さから人気があり、抽選でしか入れない。朱莉は運よく入れたものの、1年生から4年生までが協力して、作業する機会があることに驚かされた。
この私大は学生企業家に寛大で、結構な額の助成金を用意するため、アイディアや技術を絞って起業家をめざす生徒たちが多い。
恵まれた土壌で未来を開拓しようとする学生企業家と組んで、経営戦略や運営、収支管理などをバックアップするという名目で、実践しながら経営者になるためのノウハウを学び、経済に強くなるのがこのゼミの趣旨だ。
今日はその1年生から4年生が集まって分担作業をする日だ。朱莉はまだ入学して1か月半しか経っていないので、簡単な会計処理を任されている。
学生起業家と言ってもピンキリなのだが、今日扱っているのは、かなり本格的な起業家のものだ。留学生活でいち早くグルテンフリーを知った女子大生が、もともと好きだったお菓子作りと結びつけて、スイーツの店を企画したのが始まりだった。
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