心理学の講義

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心理学の講義

 それは悪ガキ仲間と会ってから3日後のことだった。  心理学実践という授業を取っていた時、向井博司教授が苦手意識とはどこからくるかという話をしたことから始まった。  向井教授が苦手な人に対して、どう行動を取るかと生徒たちに質問したときに、ある生徒は避けると言ったが、ある生徒は、その人の良さを少しでも知って苦手意識を無くす努力をすると答えた。  二人の答えには当てはまらないが、朱莉も悪い関係を過去に修復している。あの悪ガキたちには、最初苦手意識というか、兄を傷つけたことへの怒りしかなかったけれど、いけないことに対して、朱莉が本気で向かっていったことがきっかけで、彼らも自分たちの行動を省みて、今は関係も良すぎるくらい良好でいる。  稀なケースだとは思うけれど、きっと誤解を解くには、相手のふところに飛びこむ勇気が、必要なんじゃないかと朱莉は思う。 それでは、と教授が続けた。 「今まで会ったこともない人に、会ったり、話したりしただけで、苦手意識を抱くのは、どうしてでしょう?」
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