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「明日、雨乞いの儀式があります。そこで祈りましょう。謝罪も願いも、ありったけの思いを神へ届けましょう。神が、まだ我々の事を忘れていなければ、きっと答えて下さります。そのあとに、考えても良いのではないでしょうか」
私は何とか二人をなだめ、この事は雨乞いの儀式の後に、社使いのまとめ役も交えて話し合うという事にした。私は儀式を成功させるために信者の心を不安にさせたくないと言い、その時までこの事は口外無用にした。
「私とアラン祭司は、もう少し探してみます。カーデル祭司は祭主様をお願いします」
二人はそう言って別の層へ移動して行った。ちゃんと秘密を守れるのか不安だが、ここは信じるしかない。
二人の居なくなった最深の地は、まるで別の部屋に移動したかのようにしんと静まり返った。
「カーデル祭司よ」
祭主様の体を支えながら階段を上っている時に、声をかけられた。
「やはり、まだ祭主になる気はないのかい」
前にも誘われた事があった。アラン祭司はハッタリが多く、ジブリオール祭司はまだ若すぎると。
「お二方のどちらかが祭主に相応しくなるまで、長生きして下さい」
無理を言う、と祭主様は笑った。祭主様は全てをお見通しなのか、それとも思わせぶりなだけなのだろうか。私にはまだ分からない。
祭主様を自室まで送り、私は遠い地上を目指して階段を上った。地上はもう夕方だとだというのに、まだ痛いほど暑かった。くらっと、めまいがした。今日はとても疲れた。
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