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遡ること半日前、立派な勇者になる為、訓練は日々欠かさない、優秀な腕前を持っていた僕は突然国の王様直々に城から呼び出されたんだ。
慌てて城に向かってみれば、そこには僕と同じくらいの男の子が既に待っていたんだ。え?一体どういう事なんだろう…そう思った直後、王様がやってきた。
「こっ、国王陛下!お呼びでしょうか!!」
慌てて僕は忠誠を誓う的たポーズ?みたいのをえして、王様に呼ばれた時の決まり文句を言った。こういうの、始めてやれた~!!なんかワクワクするなぁ…
「うむ、我がスマイル王国史上最大の危機が迫っておってな、王国一の実力を持つ新人勇者である君達に助けを求めたいんじゃ」
「勇者、達…?ですか……?」
「如何にも!おっ、そうかそうか、君達二人は初めてお目にかかるのかな?」
「あーそうなります…ねぇ…」
隣にいる僕と同じような姿勢で忠誠を取っている男の子を見る。そう言えばコイツも僕と同じようないかにも勇者っぽい格好してるなぁ…果たしてこの人は僕より強いだろうか…気になるなぁ…。
するとそのもう一人の勇者が僕を見ながらボソッと言った。
「………………………カンテラ……………よろしく」
え…こんなテンション低いっていうか、物騒で表情に何も感じない_____こんなの…カンテラと一緒に冒険しろと?でもまぁ、一応僕も名乗った方が良いよね。
「ニコニコタウンから来ました。ラ、ランタです……これからよろしくお願いします!って、えぇ……」
僕が自己紹介をし終わって顔を見上げた時、カンテラはとっくのとうに王様の方を向いていて、まるで僕には興味が無かった。こ、コイツ…。
「そ、それで……国王、一体どんな危機が…?」
「うむ。それはじゃな、何者かが悪魔の秘宝【曇りの器】を使って愛と笑顔溢れる我が王国を混沌の地にして、やがて争いが絶えない最低最悪の世界に造り替えようとしているのじゃ」
「なっ……….それは、犯人が誰なのか、それすらも分からないのですか!?!?」
「残念ながらな…ただ、それは強大な悪の組織であることは確実じゃ、そいつらの一味は一昨日、ワシを暗殺しようと目論んだからな、カンテラのお陰で助かったわい」
コ、コイツが…!?
僕はカンテラを見つめた。しかし相変わらず顔色一つ変えず、当然だとばかりに微動だにしなかった。なんかムカつく…。
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