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「ターメーター、ターメーター?」
駄目だ。全く見つからない。
「いたら返事してー!!」
村のはずれの小さな森に出たのだが、人影一つ見つからないよ。
「………諦めようぜ」
挙句の果てにはカンテラもこんなことを言う始末だ。
「………アイツは使えない、迷惑だ」
カンテラ……。
そんなこと、言うなよ。
確かに、確かにタメタはへっぽこだよ。
僕達より圧倒的に劣っている。
けど……けどっ…。
タメタには何か、それとは違う強さを持っているような気がする。
それに、タメタはカンテラの心を少なからず動かしているし、とてもフレンドリーだ。
彼女はいつも素直に生きている。自分のポリシーを求めながら。
こんなにいい性格の持ち主は早々いないさ。
タメタは僕達の仲間だ。だから彼女が幾ら弱くたって、何があっても見捨てたくない。失いたくない。
「僕は……信じるよ、タメタと必ず会えるって」
「………。」
「タメタは僕らの大切な仲間だ。そうだろ?」
「…………仲間、か。」
カンテラは興味深そうに目を大きくした。
「だから絶対に諦めちゃ駄目だよ、カンテラ!………ってカンテラ?」
突如カンテラが怪訝というか、唖然とした表情になって一歩二歩、後退りした。
「カンテラ?どうしたの?」
「………後ろ」
「へっ?」
いくら探そうって再度決心したからって、そんなすぐ後ろにタメタがいるなんてオチは流石にあり得ないでしょ。
タメタがカンテラのように気配を遮断して後ろにいることもあり得る訳………。
僕は後ろを振り返る。
あり得る訳、ないけどさっ………。
「うわああああああぁぁぁぁああランちゃんだずげてぇぇええ!!!」
誰も後ろからタメタが箒に乗って僕がいるところに物凄い速さで突っ込んで来るなんて思わないだろう。
少なからず思ってたけど、やっぱりタメタは箒を乗りこなすのも下手くそなんだね…。
「あっははは……」
助けたいのは山々だけど、逃げなきゃ。さもなきゃ確実にタメタと激突する。
素早くカンテラがいた方向振り返る。
いない。
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