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カンテラは既にタメタと激突しないだろう安全地帯へと逃れていたのだ。
えっ、早過ぎ…。
この一瞬の気持ちが僕の行動力を鈍らせた。
「ランちゃんごめええぇええん!!!」
痛ってえ……。
ここは?
明るいな。茂みのある森と違って。
それに青い。空気が冷たいし、なにかに乗っているような。
「よかった!ランちゃん気付いたんだね!!」
「うん。ここは……?」
「空だよ!」
空……?えっ空!?
下を見下ろす。
村が小さい。滝が、森が、洞窟がちぎったパンの如く。
マジかっ……。しかも僕、箒に乗っている。タメタの後ろに、だけど。
「ごめんね、ランちゃん。実はわたし…、うひゃぁっ!?」
箒がガクンと揺れ、物凄い勢いで飛び出した。
やばいやばいやばい落ちるっっ!!!
上に上がったり、下に急降下したり、横にグルグル回ったり、ガチで吐き気がしそう……。
もう滅茶苦茶だぁ!
「どうして……うえっ、こんなことに?」
「わたし、どうしても箒に上手く乗れなくて、それを昨晩ランちゃんが宿ですぐに寝ちゃったあとにカンくんに言われたの、箒を操れないなんてそんなの魔法使い失格じゃないのかって、だからちゃんと乗れる様に練習してたんたけど……きゃっ!」
また箒が揺れた。
カンテラの奴、また面倒なことを。
そうだカンテラ!カンテラは今どこにいるんだ?
今度は僕達がカンテラとはぐれてしまったじゃないか!?こんな時になんかロクでもない奴に遭遇したら……。
「はあ……はぁ…とにかく、どこか降りれる場所に……」
「分かったわ、なんとかして止まらないと………」
ガチン、と何かにぶつかった。
「痛ぁっっ!!」
「硬っ……今度は何に…」
僕達は天高く空を飛んでいる何かデカイの激突した。
ドラゴンなんてこんな村の近くにいる筈もないのに、普通、天空でなにかとぶつかるはずなんてあり得ないのに……。
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