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ありがとう
『真美です。
この手紙はきっと、サークルメンバーの誰かから渡されたものでしょう。
ハッピーバレンタイン!
生きている頃に渡せなくて、ごめんね。そして、病気のことを黙っていてごめんなさい。私のことを怒っていると思います。「何で教えてくれなかったの?」って。
本当にごめんなさい。
実は、手遅れだと聞いたときショックで死にたくないと思いました。だけど、変えられない運命。私は助かることを諦めました。そして、決めました。あなたには、絶対言わないと。
医学を勉強している私たちは、がんの恐ろしさが誰よりもわかるはずです。
いつも教科書に載っていた病気に私は今かかってるんだ。そう思うと、怖くて仕方がありませんでした。こんな思い、あなたにはしてほしく無いと思い、伝えませんでした。
それに、これから死ぬんだと思いながら最後を過ごしたくありませんでした。少なくともあなたとは、最後まで未来を語りたかったのです。それも、理由のひとつです。ごめんなさい。
今日はバレンタインの日です。
あの日を覚えていますか?
私が部活で辛い思いをしていたあの日。本当は辛くて、でも言い出せなくて。言わなくても気づいてほしいと、勝手なことを考えたりしていました。
そんな時、あのいたずらのおかげで、元気がでました。
本当にありがとう。
私が甘いものをあまり好まないということも、覚えていてくれて嬉しかったです。
本当は生きている頃に渡したかったです。この手紙も、自分の言葉で伝えたかったです。
けれど、私の命はバレンタインまで持たないようです。なので、このような形で渡すことになりました。
別れるのが本当に辛いです。なぜなら私は、あなたのことが好きだからです。もう会えないけれど、今まで本当にありがとう。
私みたいな患者を救える、立派な医者になってね。』
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